南方録の会

あけましておめでとうございます。

正月と言えばやっぱり、南方録の「会」だよね。

正月元旦 客なし、
 四畳半ニて大フク祝
 一 牧渓 壽老人 一 釜 雲龍 一 ツルヘ シメ引テ
 一 茶入 尻フクラ 盆ニ 一 薬師堂天目 臺 一 花入 鶴首 梅
 一 手フクヘニテ炭

利休が自分にご褒美、じゃなくて自分と向き合うお茶。


…それは静謐で、美しくて、そして嘘くさい。


南方録偽作説ってのは、結局この「会」の出来すぎた疑わしさから来ているんだよね。


では南方録の「会」の一番最初の会を見てみよう。

十月朔日 御成
  二畳敷
 一圓悟墨跡 一釜 糸目 一棚ニ羽箒・香合
(略)
 後
 一床マキテ手籠出シ置、折敷ニ花イロ/\組テ、但御花被遊、白キ菊ハカリ
(略)

南方録の「会」の年代は特定されていないが、初座に掛軸/中立で軸を巻いて/後座に花所望、というのは、松屋会記や天王寺屋会記の伝える当時の茶とは隔絶したもので、多分江戸中期以降の感覚だと思う。

武家茶道やっているものとしては南方録に異義を述べるのは大変心苦しいのだが、そう思うんだからしかたねぇ。