じゃわさらさ

無茶法師/學藝書院/1936年。

川喜田半泥子の、昭和2年7月24日から9月26日の南方旅行。その旅先から6回に分けて送った通信とスケッチをまとめたもの。

半泥子のユルいスケッチも収録。

実はあんまりお茶の話は出て来ない。

ブノンペンにて:

丁度王様の即位何年とかの記念展覧會が濟んだ所でしたから、マダ殘り物が陳列されてゐました中に、日本の茶人や、道具屋が人形手青磁といふ茶碗がありました。又茶人が「アンナン」といふてゐる茶碗もありましたが、やはり眞鍮の覆輪が掛けてありまして、厚手の磁器で、ゴス畫が筆數少なく使つてあります。

スラバヤを出る前に三井銀行の方に「茶杓を作りたいから竹を二タ節三節頂きたい」といふと直經三寸許りの竹を三尺許り切つてくださつた。茶杓と柄杓とを間違へられたらしい。處で茶杓に削つて見ると節にはイボが多く出て繊維が強くて堅いから削つた處が光つてゐる。

のこの二箇所ぐらいか?

…直径10センチで長さ90センチだと、柄杓どころではなく花入ではなかろうか。


ま、大したコト書いてないけど、なんか楽しいですよ。当時の世相とか判って。


ずっとツン読だったのだが、正月の松屋銀座川喜田半泥子のすべて」で紹介されていたのであらためて読んで御紹介。