五条坂陶芸のまち今昔
田村喜子/新潮社/1988年。
五条坂を登っていて、焼物の町、という印象は無い。
茶碗屋が並んでいるが、それだけ。
だが、この本によると、五条坂には実際に窯元が林立していて、登り窯の煙はもうもうと、先斗町から苦情が来る程だったという。
しかも、薪を運び、土を運び、出来た焼物を運び出す牛馬が往還し、そこらじゅう臭かった、という。
今や電気窯になって、煙も無くなった。
そんな往時を知る職人へのインタビューからなるドキュメンタリー。
京焼にはろくろ師がいっぱいいて、ろくろ師と絵付け師は分業制。相当有名な作家でもろくろ師に形は作らせていたのだという。
現代の京焼の作家性が微妙なのはその辺が理由だろうか?
陶器市は本来、従業員がはんぱ物を売って賞与にするものだった、とか。戦時に強制疎開が行われ道の片側が国有地化してしまった話。
「ここで、どなたもご存じないことをひとつお話ししましょう」
…歴代展のレセプションでそう語り始めた直後に死んだ六代清水六兵衛。
いろいろな話があって面白い。
…しかし村田製作所が京焼の話の中で出て来るとは思わなかったなぁ。
セラコン焼くのも焼物っていえば焼物か。
- 作者: 田村喜子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1988/09
- メディア: 単行本
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