つまみ

実はこの水指に付けた蓋。作るのに1年以上掛かっている。

理由。

つまみが大変難産だったのだ。


水指の蓋のあの細いつまみ。

どうやって作るか御存じか?

私は知らなかった。


どうやら、細い蔦を曲げて作るらしい。

でも、その具体的な方法はいくら調べても判らなかった。

漆塗入門みたいな本にも水指の蓋の作り方って載ってないんだよね。みんな自作しないのかな?


勝手な試行錯誤はドライフラワー素材の枝物を水につけて煮沸して曲げてみてポキッ!とか、徒労の連続。

結局自分ではうまく木が曲げられず、仕方なく板から削り出した。


さて。

左は蔦を曲げたつまみ。右は板を削り出したつまみ。
矢印は木目方向。


作る段階で判ってたんだけど、やっぱり木目がつまみの内側に閉じ込められる様な曲げた本格的なつまみと違い、削り出しはつまみの特定方向に木目が走ってしまう。

つまり強度的に弱いのである。ポキポキ折れるのである。


さらに、ごく細いつまみを、ごくごく細い棒を継ぎ手に、麦漆で蓋に接着している。

直径1ミリにも満たない継ぎ手が、折れたり抜けたりぐらぐらしたりする。


折れては接着、でも研いては折れる、みたいなのを繰り返して一年過ごしてしまった。
とほほである。


みんな、水指のつまみって、とっても弱いので、大切に扱って下さいね。