路傍の竹

あまた美術館をめぐって茶杓を拝見し、さんざ目を肥した。
沢庵和尚の茶杓は侍よりよっぽど漢らしく、不昧公の茶杓は端正。

そんな状況で茶杓を削りはじめると、もっといい茶杓を、もっといい茶杓をと思う。
当然竹選びの条件が厳しくなって行く。

竹の色、景色はもちろん。樋の深さに形。さかひの枝の処理はどうか?節から節の間の樋のテーパーぐあい。節から若干左方向に樋が傾いて入っているか?蟻腰を決める節の太さと竹の太さのバランスはどうか?そもそも節の厚みは?

てなわけで本当にイカス竹を入手するのは難しい。

そんな中、道を歩いていて「おお、この竹は…欲しい!」と思う事が良くある。へっぽこ和風居酒屋の外装だったり、ホテルの前の垣根だったり。この前は昭和美術館の庭で思った。

なんでこんなとこに使える竹があるんだろう?どっかで適当な竹買って来てこっそり交換してやろうかしらん、とか思ってしまう。

いや、さすがに自重してますよ、ええ。