左利き
「あら、あなた左利きなの?ここでは直しましょうね」
私が同じ日に入門した人が言われたことだ。言われた左利きの人は結局来なくなってしまった。利き手が原因かは定かではない。
茶道は右利きの為の技術だ。刀は右手、の武家茶道は特に厳密だろう。利き手の位置制御だけでもビシバシ指摘されるんだから、これを逆でやるなんて考えもつかない。
私は右利きなのでなんてこたぁーないが、妻は左利きだ。彼女は若干異常で、時と場合で左右をふらふらスイッチする。
お点前は普通に右でできる。ご飯食べる時の箸は左だが、菓子を取る時は右。黒文字は右手で使う。やっぱり右で箸を持つのは辛いらしいが、茶道をやっていたから矯正されたんだろうなと思う。
じゃぁ彼女が茶道に関して全部右利き矯正されているか?というと疑問もある。彼女はいままでちゃんとした茶事に参加していないからだ。何人かでせまっくるしい茶室で並んで懐石を頂く時に左でご飯を食べていいものか?特に最後一人だけ逆の手でお箸をおっことすのか?という検討はしたことないと思う。右で持っても左で持っても、きっとすっごい辛い1時間になると思うのだが。
正直言って左利きのストレスってのがどんだけのものなのかは私には判りえないが、いずれ裏千家が左利き用の点前を開発する日が来ると思う。その日まで左利きの方は我慢ですよ。