はしっこの話

昨日は竿物の話だったので、以下のフォークロアを検証したい。

「羊羹ははしっこがうまい」

蒸し羊羹は餡に小麦粉他を加え、蒸して固めたものだ。素材と製法でいうと上生に使う「こなし地」の小麦粉比率をあげたものといってもいい。
練り羊羹は餡を寒天などの増粘剤で固めたもの。これも和菓子に良く使う。
どっちにしろほぼ均質な素材でできている筈だ。

まぁ沈澱しやすい材料なので、若干の不均質はある筈だが、その不均質がはしっこに集中するという事は理論的にありえないだろう。

…確認してみた。

  1. コンビニの羊羹を買って来てはしっこを15グラム切り取る。
  2. 同じく15グラム、まんなかを切り取る。
  3. はしっこをコップの水に浸す。
  4. 水位を輪ゴムで記録する。
  5. 中央部をコップの水に浸す
  6. 水位を輪ゴム位置と同じかチェック!

やっぱ同じ水位だった。重量が同じで体積が同じなんだから、まー比重的におんなじと考えていいだろう。なんで「おいしいとこが端による」説は否定な。

するとあとは官能試験。実食である。良く考えてみたら、「はしっこの方がうまい」が立証されていないと、なにを分析しても意味がないのだった。

本当は被験者多数で二重盲検査をしたいところだが、ここは自分一人で頑張るか。

  1. まんなかを食う。
  2. 茶を飲む。
  3. はしっこを食う。
  4. 茶を飲む。

…はしっこはうまい。やっぱうまいじゃないか。

側面のでこぼこつるつるしているところがうまい。でも形状がうまいのではないな。

ビニールで密閉する為か、シロップ状のものが羊羹とビニールの間を埋めているのだが、まんなかは両断面にはシロップがかかっていない。立方体6面のうち4面しかシロップが掛かっていない。はしっこはでこぼこしたとこにシロップがかかっているので、5面にシロップが掛かっている。

この差かもしれん。

コンビニの適当羊羹だとこんなもんだけど、高級羊羹だとどうだろう?古典的な作りの羊羹だと厚手の銀紙巻きなのではしっこは完全密封されづらい。水分が抜けて糖度が上がるって可能性があるっつえばあるかもしんない。

でもあのくそでかくて重くて高いシロモノで実験すると、お腹一杯になりすぎるので、今日はこれまでにしとうございます。