三井記念美術館 森川如春庵の世界

「ん、モゥ!この、あ・ま・え・ん・ぼ、さん(はーと)」

そんな鈍翁と森川如春庵のラブラブ世界。…あてられました。

10代で光悦茶碗二個持つってのは何よ?一生働かないで茶人してたとはなんたるダメ人間よ?…マジ羨ましいわ。

やっかみはさておき、その光悦茶碗。乙御前のぽてっとした可愛さ、時雨のしゃっきりぽんとした恰好良さに痺れる。ただし時雨は高台廻りがすっきり綺麗にできていて、逆につまんないっつえばつまんない、と思うようになってしまったのは光悦茶碗を見すぎたせいかもしんない。

明治の末年まで光悦は人気がなかったという。「近代数寄者の茶の湯」によると明治39年の平瀬家売り立てでノンコウの千鳥が1万5千円。光悦の茶碗は数百円だったとか*1

その茶碗が乙御前。買ったのが如春庵19才である。「目の力で買う」とうそぶくだけの事はある。

でも実は今回のコレクションで一番「スゲエ!」と思ったのは真塗中次。あれは凄すぎる。ただ完璧すぎて「月も雲間のなきは嫌にて候」て視点ではダメな道具かもしれない。

如春庵コレクション、いいものがいっぱいだけど派手な品物はほとんど無い。品質で勝負!品のよさで勝負!どうだ!僕の道具!そんな感じで攻めて来る。

ぽわぽわと春の如し、というような円満な人格者では無かったようだけど、猪口才な小僧め、そんな感じで一生をガキ臭く春のうちに過ごした人なのか。憎たらしくも生意気だが品が良くて憎めないボンボン。そんな感じが伝わって来る。如春庵自作茶杓が凡庸なデキなのも含めて、如春庵を満喫できる展覧会だと思う。

…なんかどさくさまぎれに展示された感じの卯花墻に再会できたのがうれしかったな。

*1:ぴんとこない人は昔の1円=今の1万円で換算すると正確ではないが判りやすい