松平定信

松平定信。ひとことで言うと、有能な変態である。

彼の茶道は"道具買うなど馬鹿、家にあるもんでやれ"的ストイック茶道である。

実は白河藩松平家は代々遠州流だったのだが「遠州流は奢侈に流れている」として自ら茶書を執筆。「お家流」を興した。

それだけでなく、田沼意次を失脚させ政権を奪取した彼は、近江小室藩小堀家を公金横領で取り潰した。

僕らは学校で「定信はぜいたく禁止令を出した人」的な教え方をされている。だが実際には「欲望を去勢する、という思想を政治に持ち込んでみんなに強要した」という方が正しいと思う。

自分の性欲すら制御した、と豪語する彼は、寛政の改革で、政策を通じて他人の欲望すらを抑え込めると考えていたんだと思う。

「もとの濁りの田沼恋しき」と思って当然な気がする。

彼の茶道、茶人としては大変つましく、侘びてそうな気はするが、この人の茶で果して安らげるものなのだろうか?