茶人 豊臣秀吉

矢部良明著。

まるで「一休さん」の将軍さまの様に、利休のやられ役として扱われる秀吉。

その秀吉が、実際にどういう茶人であったか検証する一冊。

利休と懇意になる前から茶事に創意を加える秀吉。
そして利休を死なせてからも茶事に創意を加える秀吉。

そこにいる秀吉は利休の添え物ではけっしてない。

飛び石づたいに渡って来る宗湛ら一行二名を耳聡く聞きつけたかと思うと、すっと障子を開いて、
ハイレヤ。
と声高々と招き入れている。

明らかになっていくのは、気さくな権力者のゴージャスかつ意表をつく茶の湯
秀吉の人間的魅力にメロメロである。

そういった秀吉像を消息や日記などの同時代資料から浮き彫りにしている。後世の回想や著者の推測や意見は都度しっかり明記されている。こういうアプローチは非常に心地よい。そしてスリリングである。

同氏には先行作"千利休の創意"がある。こちらは「千利休は結局いつ頃どんな変革を起こしたのか」という話らしい。これも是非読みたいものだ。

茶人 豊臣秀吉 (角川選書)

茶人 豊臣秀吉 (角川選書)