昭和初期の茶道
昭和初期の茶書を読んでいると、現代とは全然違う茶道観で面白い。
高橋箒庵"おらが茶の湯"はこう語っている。
書院の台子茶などと云うのは原始時代の形見で、宗匠連中は心得て置かねばならぬであろうが、夫れが世間に流行らぬのは、草庵侘茶の趣味が夫れより遥かに面白い為めである。
侘び指向が非常に強かった感じだ。
しかも、点前が下手でも全然平気だった。
森川如春庵"田舎家の茶"で語られるT.D氏(おそらく団狸山)は
益田翁が『君の點前を見て居ると山道を辿るやうだ』と評され、
多忙な数寄者はあんまり点前を勉強しなかったんだろうな。
前にも書いたけど松永耳庵もこう書いている。
お茶を始めてヤツト一年。別に師匠はない。
でも、茶会の会記とか読んでると、すごく面白そう。
待合から仕掛けられた謎が後座で明らかになる。この時代の茶会はすごく格好いい。
点前よりも趣向の方に意識が向いてた時代なんだろうなぁ。