古陶の真贋
光芸出版/1977年。
読者の陶器収集失敗談と、識者のアドバイスを集めた本。
<私の目ちがい>
赤絵が消えた呉須赤絵
五月のバンコクである。
(めちゃめちゃ略)
「やや!」何とその華麗な赤絵がズルッと剥がれ始めたではないか。
(めちゃめちゃ略)
みたいな話が載っている。
みんな、「いいな」と思ってハイになって買って、家帰ってから「アレレ」ってなるんだなぁ。よく判るわぁ。
気になるのは二点。
まず、鑑定する側として、鑑定のポイントの一つに絵つけの線の伸びやかさ、とかを挙げている事。
最盛期の真作者はもちろん量産していた筈で、贋作者はそれに比べて数は作らないので、熟練工としてのレベル差がある、というのは判らんでもない。でも、うまい贋作者の作品は本歌として認めてもいいよ、と言っているのとおんなじじゃないか、これ?
もう一つ。贋作を掴んだ多くの骨董ファンが、その贋作を安い値段で骨董屋に引き取らせている事。割れよ。その場で割れよ。また誰かだまされるじゃんかよ。
あと、投稿の中に面白い書き出しのを発見。
ここ数年民芸やきものブームといわれてきましたが、あのような不細工で重くて、欠けやすく、きたない色合いのやきものがなんでいいかわかりません。
陶磁はやはり、美しく端正で気品が高く、絶大な国家権力のもとで、最高の技術を駆使して作られた品にこそ真価があるのではないかと私は確信しています。
そういう意味では、なんといっても中国、それも最隆盛期といわれる明時代の品がいちばん好きです。
紹鴎時代の唐物崇拝とはこんな感じだったのではないか?茶人が失ってしまった感性かもしれん。
…まぁこの人もだまされてるわけですが。ころっと。
- 作者: 光芸出版
- 出版社/メーカー: 光芸出版
- 発売日: 1977/06
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