現代語訳宗旦文書
田中稔 著/慧文社/2004年。
千宗旦のイメージと言うとおおざっぱにこんな感じ。
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…一般の宗旦のイメージとしては
- 清貧
- 侘びの境地を開いた
- 利休の轍を踏むまいと宮仕えを拒否
- 息子達の職はあれこれ心配してあげる
- でも長男と仲が悪い
- 硬骨漢で頑固者
じゃないスか(違う?)。
しかし、この本が描く宗旦像は
- 自分は職につくのをあきらめている
- 息子は職につけたい。
- ちゃんと長男とも仲が良い
- 貧乏
- 金に汚い
- 怨みがましい
- 行きあたりばったりなのに頑固者
…あんま変わんないか。
宗旦の生計ってどうなっているんだろう?とか思っていたのだが:
沢庵和尚様から賜った墨跡を金一枚(十両)ずつに換金して、此の暮れの用意が十分出来たのでご安心下さい。
手持ちの道具売ったり、墨跡をねだっては流して生活してたんだ、というのが良く判る。
あとは息子からの仕送りな。
一翁宗守を吉文字屋へ養子にやったが、ろくに仕送りしてもらえなかったのか
甚右衛門は一人仕合せで、言葉にもなりません。
なんて言っている。
しかし、長男宗拙へは:
聞くところでは、そなたが目眩がするらしいが、とても心配でならない。先々養生の為上京する様に待っている。
かなり長男を心配した、いいお父さんである。
宗拙は就職できずに酒に逃避して目眩持ち、一翁宗守は岡場所で淋病になるし、宗旦は皮膚病で全身ぼりぼり掻いてるし、なんかこう、求道の理想に燃えた一族、という感じでもないなぁ。むしろ、難儀な時代を難儀に生きた、がんばる人々の様にも思える。
後の世に理想化しすぎたんじゃないかなぁ。そういう人間臭さの方がイイって思うんだけどな。
ところでこの本、対訳じゃないんだよな。
原文を恣意的に訳しすぎなんんじゃねーかと言う疑惑が尽きないのが欠点か。
- 作者: 田中稔
- 出版社/メーカー: 慧文社
- 発売日: 2004/12
- メディア: 単行本
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