池永宗作への書

茶道古典全集第三巻収録。

武野紹鴎がその弟子、池永宗作へ与えた茶の湯マニュアル。

結構手順が詳細に書いてある。濃茶を点てる部分に関して抜粋しよう。

サテ柄杓ヲ取,釜ノ蓋ヲ取、湯ヲ汲立、少シ天目ヘ添エテ、箋ヲ取、能シスカニ振、箋ヲハ左ノ手ニ移シ、又、湯ヲ添エ、一度目ヲハ少シ振、客人ノ方ヘ出也。

実用可能なくらいの細かさで書かれている、と思う。


ところが、茶入を清める所はこんな感じ。

膝ヲ立直シフクサ物ヲ取出シ,茶入ヲ取,能フイテ座敷ノ面ニナラシ,茶杓ヲモ曳茶入ノ上ニ置キ,フクサ物ヲハ懐中ニ入レ

気になるのはふくさを取り出す→拭く→懐中する、という流れ。

どこにふくさを初期配置しているのか文面で定かではない。膝を立て直しているんだから、最初は多分腰につけていたのかな?
で「ふくささばいて」的な用語が一切無いので、多分この時代ふくささばきという手順は無かったのだと思う。さばかずにそのまま適当に握って拭いてたんではなかろうか?

ちなみに宗作が付け足したふくさの解説は以下の通り。

一、フクサ物ハ長不足、手ノ中ニアルヤウニスヘシ、青クスベシ、是伏セヌヒニスベシ、

長不足?手の中にある様に?難しいなぁ。


あと片膝立てとか、片手で礼とか、結構現代と違うお点前が記載されている。
読みどころ(つっこみどころ?)満載です。