福岡市美術館 茶人 松永安左エ門

福岡市美術館に寄贈された耳庵のコレクション。
さほど量はないのか毎度毎度似た道具組を工夫で頑張っているって感じ。でもなかなか好感もてる。

今回は耳庵の茶会記を中心に、そこ出て来る道具を中心に、耳庵の茶風に迫ろう、という展示である。


柿蔕茶碗「白雨」。三渓旧蔵の、異常に腰高の柿蔕。

粉吹茶碗「十石」。鈍翁命名の、実にいい感じに傾いた粉吹。

最初の茶事が昭和十年、ということから仕方無いが、やはり三渓や鈍翁の影響はある様である。特に三渓の影響は大きい様で。


唐津茶碗「老鶴」と長次郎黒楽「次郎坊」。「老鶴」を濃茶に。「次郎坊」を薄茶に、という道具組の自由さ。


無骨な蕎麦茶碗「夕月」と備前矢筈口水指に、朱の盆に載った唐物肩衝茶入「松永」を取り合わせる、破格ともはずしとも見える不思議なリズム感。


小さな展示室ながら、無骨かつ可愛い、耳庵の茶風を偲べるいい展示であった。