茶道献立集
古本を漁っていると「茶書は古けりゃ古いだけよろしい!」という、意味不明な陥穽に陥っている自分に気付く。
テカテカのコート紙の背表紙を前にするより、擦り切れた布表紙の前に立つ方が興奮する。布表紙より薄汚れた和綴じの山の前の方がもっと興奮する。
和綴じの本がごっそり山をなして積んであれば、底からほっくり返さずにはいられない。
んで、超汚れた医学書、それも虎列刺関係の本とかに触ってしまってエンガチョ気分になったりもする。
さて、その和綴じだが、糸で綴じたきっちりした製本の物の中に、こよりで綴じたうすっぺらい本が混じっている事がある。
こういうのは大抵、出版物でなく、昔の人の書いた手帖である。
こういった手帖は、大抵タイトルがついていないが、古本屋さんが値段を付け、値札に中身を示す説明を書いてくれている事がある。
そういった中に「茶道献立集」あるいは「茶の湯献立集」といった後付けタイトルが付いているものがある。
中を開く。たしかに料理の名前が一杯書いてあるが、「蓋置 つくね」「こほし 棒の先」とか、道具の名前も書いてある。
これって、我々言うところの「他会記」って奴じゃないかしらん?
古本屋さんには「献立表」に見えるのかも知れない。
あれ?でもそれなら「茶の湯」とかサブタイトル付かないはずだしなー。
いったいなんでこんなタイトルがつくのやら?…謎である。