中間層
お茶は、3000円の茶筅を買うのを躊躇する人から、棗ふたつで700万をポンと買えるという人まで、いろんな経済状態の人がやっている趣味である。
でも大金持ちはもちろん少数派だろうし、あまりに貧しい人がはじめよう、と思う趣味でもないな、と思うと、やっぱり一番多いのはその間にいる人達ではないか?
さほど裕福ではないが、時折30万とか、50万とかの道具を思い切ればなんとか買える人達。
その辺を中間層と定義しよう。
実は私、数年前まで中間層の下くらいだった。30万の道具、年1なら買えるかもね、程度だけど。諸般の事情で今は10万の道具でも無理だったりする。侘びというものが良く判ってこれはこれでありと思っているが。
次に。
茶道具の質は、値段に比例する、という法則が成立するものとする。
これは割と真実だと思っている。道具屋がプロフェッショナルである以上、掘り出し物なんぞという物は本来存在してはいけないものだ。
で、本題。
昨今の不景気で購買力が下がり、30万の道具を買えてた人が、10万の道具しか買えない経済力になってしまったとする。
30万の道具を買っていた人は、10万の道具を買うようになるだろうか?
私は買わない、と思う。
30万の道具を見ていた目で10万の道具を値踏みすれば、それはもう、あまりにものたりないに決まっているから。
これが食事であれば、生活必需なので30万の料亭には行けない人もほか弁は買う、くらいの分相応な経済が成立する。
しかし、必需でない嗜好品ってのはそうは行かないだろう。
だから今の時代、必需でもない茶道具を扱う方々は大変だな、と思う。