茶の湯古今春秋

磯野風船子/雄山閣出版/1973年。


40年近く前。毎月一回、磯野風船子がテーマを決め、さまざまな茶人+出光美術館の所蔵品を持ちよって茶会を行う、という事をやっていたらしい。


本書はその会記であるが、それだけではない。


磯野風船子のさまざまな“う・ん・ち・く”が読める。

初期茶道はどういうものであったのか?
磯野風船子はそれを探究し、再現しようとしている。

ただ、全部が全部の茶会がそういう目的ではないし、また、その目的の場合も会記に織り込まれるようにその文が入っているので、ひっっじょうに読みづらかったりもするのだが。


あと、この本を読むと、70年代前半の茶の雰囲気が伝わってくる。

道具貸し借りの部分でのやりとりとかがなんだか非常に男臭い。

せっかく借りて来た道具を取り合わせにより使わない事があったり、磯野風船子が露骨に悪口を言っている部分すらあったり。

真剣勝負!という感じで、熱の入った道具茶、というのを垣間見ることができる。今、お茶の世界はこんな熱い道具バトルは行われていないと思う。悪い意味で冷え枯れた感じになっている、と思うのだが気のせいだろうか。


でかいし読みづらいが、かなりお薦めである。

茶の湯古今春秋〈下〉 (1973年)

茶の湯古今春秋〈下〉 (1973年)

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