お茶

佐伯太/文友堂書店/1943年。

茶の湯故実について解説した本。


「序に代へて」より:

筆者は大大阪の衛星都市の一つに住んでゐる。
(中略)
而もその町にすら近頃茶の湯の流行につれ、師匠の人數が二十にも餘り、一町に一人以上、實に師匠の目白鳥押しである。
(中略)
稽古場を拝見すると、そのあまりにも何も氣に留めてゐない程度がひどすぎるやうに考へられてならぬのである。
筆者の知れる範圍では、例へば床前にゆき掛け物に禮をすることは稽古人に教へるが、然らば何が故にまづそうすべきかといふことになると、大抵の師匠が全く無關心なのである。


「例言」より:

又、本冊子全般に亘り、千家全盛の今日古流として石州流を併せ記したことは、同流が長く江戸幕府に(略)

茶の師匠達が何も疑問を持たずお茶を教えていることへの危機意識、石州流と千家を比較している事が「茶の湯の常識」に似てる気がする。

http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20090408


まぁ「序に代へて」で一番びっくりしたのは"衛星都市"という用語が一般用語だったことだけどな。
まだ宇宙時代でもないのにな。


本編は明日から。