松花堂昭乗

佐藤虎雄/河原書店/1938年。

松花堂昭乗の伝記。
この本以外に松花堂昭乗の伝記なんてあるんかいな?的な本ですな。


松花堂昭乗は幼少から近衛信尹に仕え、見出され、石清水八幡の瀧本坊に入る。その後、将軍家書道師範になったりと微妙に波乱の人生を歩み、腫物が原因で死んだ。

さて、その松花堂昭乗の出自であるが。

昭乗の父母は家譜にも記されず、全く不明である。
(中略)
昭乗は祖先の事、父母の名。法號、忌日等一切人に對して云い出した事なく、其の弟子にすら語らず、之を訊ねても答へず、終身此の事に就いては沈黙を守った。

と、孤児同然だった様で、強力なバックボーンは無い人だった様だ。


そして別の項目には昭乗の持っていた茶道具が紹介されている。

茶器には實に天下の珍寳を集めたものである。
茶入には唐物國司茄子・唐物奈良文琳・唐物肩衝(銘蛙)・古瀬戸尻ふくら・瀬戸面取・古瀬戸芋の子・古瀬戸水滴・瀬戸肩衝(銘卯花)・備前(銘さび助)・膳所燒鶴首・高取平・唐物木彫茄子の各品がある。

実家の力関係なくこれだけのコレクションをできた、という事は、石清水八幡がどれだけの経済力を持っていて、また、昭乗がどれだけの力を持っていたかを示しているのではあるまいか?

よりによって国司茄子だぜ?凄過ぎる。


…あ、あと松花堂弁当に関しては載ってませんでした。