亂世と茶道

桑田忠親/平凡社/1957年。

桑田忠親さんが書いた、乱世…すなわち戦国時代と茶の湯について書いた本。

冒頭に書いてある茶道観は非常に素晴らしい。

人間がお茶を飲むということは、ちょっと考えると、水を飲む、お湯を飲むといったような本能的な行為をもう一歩進めただけのことであるから、そのお茶という飲み物を、どこで飲んでもいいし、どんな方法や所作で飲んでもかまわない、と云ってしまえば、それまでのことである。
だから、茶道などというものは、お茶を單なる飲料品と考える人々にとっては、初めっから成り立たないわけだ。
同じお茶を飲むのでも、ひとりびとりが勝手氣ままに飲まずに、みんなといっしょに仲よく飲みたいとか、縁端などでつ立ったままでなく、座敷で行儀よく集まって飲もうとし、その方が互いに樂しいし、氣持ちも落ちつくし、見ばえもするという考え、お茶という飲み物を人々の心の交わりと生活向上への媒介物と見なすところに、茶道への第一歩が進められるのだ。

茶はなんで楽しいのか、あるいは茶を楽しむにはどうすればいいか。そんな事が実に簡単にかいてある。


…でも。

今読むと、ちょろちょろ変な事が書いてある。桑田忠親は多分、熊倉功夫以前に一番影響力のある学者だったのだが。

その辺のツッコミを明日から。