鼎の正面

11/2のコメント欄で、三足の道具の足は、2本を正面にするか、1本を正面にするか、日本と中国では違うんじゃないか?という話が交わされている。

http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20111102/1320185900#c

では愚見を。


さて、中国で、青銅器の三足と言えば鼎である。

上の絵で、Aが足2本を正面とする置き方。Bが足1本を正面とする置き方である。


鼎は祭器であるが、本来、煮焚きをする道具だという。


生贄をさばく時の順列から「牛耳る」という言葉ができたくらい、古代中国の政治とは祭祀と一体であった。

多分、祭祀で羹かなんかを作るのに使ったのだろう。


で、鼎の形状からして、煮焚きをする場合は直火であろう。

とすれば、Aの置き方の方が使いやすい。

なぜなら薪を二本の足の間から投入することができるからである。

Bの置き方だと、ナナメ横から薪を投入することになるわ、空気を送り込むのも難しいわで、全く実用性がないと思う。

…ま、古代中国の祭祀なんて勉強してないから、裏の取れてないただの思い付きだけどな。


ところで、日本の道具でも、偶数すなわち2本の足を正面にして配置するものがある。


それは五徳である。

そして、3本爪の五徳というのは、そもそも鼎の足と同じ機能を持つものなのだ。


もしも、五徳の1本足を正面に置いたら、使いにくくて困らないか?

三本足の香炉の足を一本を前に置く、というのは、日本ではそういう実用が為されていなかったから、こだわりが無かったのではと思うのだ。