大谷光瑞全集 8巻趣味篇3 兎毫蓋

猊下の講演の兎毫蓋に関する部分に、茶人に関するコメントがある。

それから正系はさう云ふ工合に來て居りまするが、此の宋の時に傍系の洵に面白いのがござんす。
是はお茶人さん非常に尊ばなければならぬもので、一向日本のお茶人さん知りませぬ。もう少し日本のお茶人さん─支那の書物を讀まんといけませぬ。
昔の茶人の記録ばかり讀んで居つてはうだつがあがりつこなし。

建安兎毫蓋

と云ふものがある。

是が薄茶─あゝ云ふものゝ基礎になります。
今も「薄茶飲んだ」…「挽茶飲んだ」の茶儀に一番大事なのは建安の兎毫蓋です。
これで飲まんと駄目です。
それに一向茶人のお方御存知なし。
─京都のお茶人さん方…變な恰好をして、少し行つたらコツンとあたる…彼奴に這入るのは大嫌ひですから這入りませんが─茶碗の名前だけは心得て居ります。

薄茶は建安の兎毫蓋じゃなきゃ駄目…という決めつけはどこからきたのだろう。多分中国の書物なんだろうなぁ。


なお茶人嫌いみたいな話書いていますが、佐々木三味とか読んでるとちゃんとお茶狂い。
…まぁ韜晦ですな。