千家正流茶會初學抄

川向庵 田口宗口/1893年

明治の茶人が孫娘の為に書いた、茶の湯の入門書。

余弱年の頃より茶を嗜み不白宗匠の相傳を守り自ら間あれば晝夜を論せず厥道を修め殆と五十餘年一日の如し未た其蘊奥を極むる能ずと雖亦少しく解する所なきにあらず於茲明治十六年京都に遊び我師不審庵碌々斎宗匠より秘訣を傳授され益其佳境より入り其眞味を知るに至れり

家元直伝で江戸千家を修めて来たが、明治16年表千家にも勉強に行った、という
事だと思う。ちなみに田口宗口は文政10年(1827年)生まれ。だから明治16年時点で56歳。

56にもなって、家元直で学んでいた人間が、別の流派の家元、しかも東京から京都へ移ると言うのは大変なことのような気がする。

よっぽど勉強好きな方だったのだろう。…何して食ってた人なのかかなり疑問も残るが。


あと、家元って言葉を使っていないのもちょっと気になるね。