茶道入門

井口海仙/河原書店/1934年。

鈴木宗保・宗幹の「裏千家茶の湯」は、おそらく戦後の茶道に大きな影響を与えた一冊だと私は考えている。

だが、戦前の、千家の人が書いたこの茶道書は、茶道史にどれだけの影響を与えたのだろう?

残念ながらそれを検証する事は叶わない。


緒言から。

本書は、これから茶道を習つてみやうと思はれる方の、豫習書と云つたつもりで書いてみました。
したがつて、點前の手順等も、初歩の人には餘り必要でない、爐の點前や、炭手前を省略し、器物の事、茶道全般に就ての概要と云つたものを主眼にしました。

採録されているお点前は、略盆点前、風炉薄茶平点前、風炉薄茶棚物点前、立礼、風炉運び濃茶点前

全部風炉ってのは理解できる。…でも棚物はいらなかったんじゃないかな?

それから、特におことわりしておきたいのは、私は、本文の中にもチヨツと書いてをきましたが、裏千家流十三代家元圓能齋の三男として生まれましたので、したがつて、點前の手順、器物の扱ひ等、自分の流儀に準じて書きましたが、と云つて、此の書物を讀まれた方は、裏流を學ばなければならないと云ふ事は、決してありません。

「別に裏千家やらんといかん訳じゃないっすよ」といいながら仕掛けられた幾つかのトラップ。

明日からはその辺について書いてみたい。