茶の湯作法5 歩き方の練習と名人の苦心

私の師匠−最早故人になりました裏千家十一代又玅齋玄室と申します宗匠でありますが、此の方は存命中手前の名人と申された方でありますが、宅に居られまして暇がございますと、始終座敷の廻りをすうすうとお歩きになるのであります。
さう致しまして二度三度位周ります中に、柱に頭をコツンコツンと致されて居るのであります。何を致されて居るかといふと、この歩き方の歩調が亂れたのであります。

14年くらいしか裏千家の家元でなかった又玅斎のエピソードは珍しい。

…若干病んだ感じがしなくもないが。

昭和初期の裏千家は炭手前以外の時でも「手前」という用語を使っていたっぽいね。