宗旦聞書12 総括

宗旦文書は、宗旦からの聞書を誰かがまとめ、辻宗謙経由で田中仙樵に渡ったものである。

仙樵はこの文書を大日本茶道学会の研修資料として配布し、自分の説の補強に使った。


でも、いったいどの辺が気に入ったのだろう?
割と凡庸な事しか書いていない気がする。

…もしかすると凡庸でとんがっていない部分を気に入ったのだろうか?
仙樵だけでもとんがり過ぎだもんな。


また、他の資料から窺える宗旦の時代の茶の湯を、本書はうまく表現できていない気がする。
さらに、同時代の聞書にしては宗旦ぜんぜんエピソードを語ってくれない。
そして、宗旦のキャラクターにいまいち合わない事も言っている。

私の結論は「宗旦の時代の茶書ではない。後世の偽作。いやむしろ、宗旦関係ない誰かの茶書に宗旦聞書と名付けちゃったんじゃなかろうか」って感じ。本文中に宗旦って名前がひとっつも出てこないしな。


で、仙樵はこの本が宗旦の茶書だと信じていたのだろうか?
だとすると仙樵の吟味力ってのにかなりの疑問が。

…まぁ南方録とかにもとびつきまくったじいさんだしなー。権威ある秘伝書…みたいなのに弱い人だったのかもね。