淡々随筆

千宗室/文友堂書店/1942年。

茶道全書第四篇として出版された淡々斎の随筆。
戦局押し迫った時期に出版できた理由が正直よくわからない。

もちろん例によって戦争に対する言い訳は載っております。

皇紀二千六百年の輝かしい祝典が行はれようとして居ります此秋に當りまして、國を舉げて東洋永遠の平和といふ大理想のもとに、諸事緊張した情態となつて居ります事は既に御承知の通りでありますが、この重大時局に際しまして獨り茶人のみが安閑とした生活を營むことは許さるべくもない事と存じます。
(中略)
まづ茶道といふものが一般社會から随分な誤解を受けてゐることに思ひ到らなければなりません。
この際この誤解を一掃して認識を改めて頂かなければなるぬと思ふのであります。
今日でもなほ茶といへば有産有閑階級が四疊半裡に閑日月を樂しむことゝのみ解され、贅澤な遊藝とみなされる向がある樣でございますが、

どうとりつくろっても茶の湯は閑人の遊芸であって、そこに心を求めるのは僕等の後ろめたさの裏返し。

でもそういう贅沢な遊芸を、言い訳しなきゃできなくなる、そういう社会にしては駄目だね。やっぱ。


では「有産有閑階級が閑日月を楽しむ」のでない茶の湯の有り方とは!

精神總動員の烽火は高くかゝげられまして
(中略)
利休居士の侘草庵の茶風は

もうこの抜粋だけでいいよね…。