茶道表千家 薄茶かがみ 爐の巻

谷口紹茶/洗心庵/1925年。
大正末に書かれた茶道書。風爐の巻の続編らしい。
洗心庵は谷口紹茶。自費出版だったのだろうか。

前書きより。

曩に、拙書茶道表千家薄茶かゞ美風爐の巻を、公に致しまするや幸にも
歡聲湧くが如く、諸賢淑女諸氏より熱狂的歡迎を以て御愛讀を給はるを得まして、著者の歡喜譬ふるに物なく只々感謝の二字以外、その言辞を知らない有樣でありました。其の後、續編爐の巻を發行致しまする筈の處その稿程意のまヽに進捗せず、或は殘念ながら御期待に反かなければならぬかと小さき胸を痛めて居りました。
然るに其の後、愛讀者諸氏より種々深甚なる御盡力を忝ふし、且は去りぬる乙丑の常夏、表千家々元不審庵に直門する光榮に浴するに及びましてよりは、拙書の内容亦自ら改り遂に今日茲に多年の宿望を完成する運びに到りました。

  1. 著者は、風炉の本を出版した頃は不審庵の直門ではなかった。
  2. 著者は、炉の本を出版した頃は不審庵の直門になっていた。

ここから判ること。

大正末年の頃の表千家は、弟子の出版に関してきちんとコントロールできていなかった。

直門でもない人物が茶道書を出版していて、直門になったのに依然出版を止められなかった。


意外と緩い組織体だったという事なんだろうな。