茶道聖典10 宗瓦宛露地入の傳書
元禄十五年版の「茶之湯六宗匠傳記」に収録された九月十四日 利休判のあった伝書…の写し。
右、利休翁の筆作まぎれなし、原寫本のすきうつしに仕候。
とか巻末に書かれてもちょっと困っちゃう。
利休名で9月とある以上、天正13年〜18年の間だと思われる。
宛名の宗瓦翁だが:
一、卯月朔日は更衣なる故に、茶ノ湯も此日より九月朔日迄は風爐にて仕る也。其比は露地にたぷたぷと水を打ち、木々の末に至るまで露をふくますべし。
本文の内容が高度でない事から、武野宗瓦ではないだろう。この時期に利休に教えを請う理由がまったくない。
内容は亭主はどう客を迎えるか、で:
高位の御客、肩衣或は衣取り給ふ共、其時相客に參る人は上衣取るべからず、取ること高位よりも御免御意にまかせ申すべし。
みたいな高位客の扱いが半分ぐらい。
利休っぽさはあんまりないが、無碍に否定できるほどのものもない。
むしろ「どこが利休なのか証明してみろ」と問いかけられても困るようなものだ。
つまり普通の初心者向けの事がつらつら書いてあるだけなのである。