茶 私の見方

柳宗悦他/春秋社/1953年。

茶に関するエッセイ集。

執筆者は以下の通り。

  1. 柳宗悦
  2. 鈴木大拙
  3. 志賀直哉
  4. 真船豊
  5. 谷川徹三
  6. 肥後和男
  7. 堀口捨巳
  8. 谷口吉郎
  9. 古田紹欽

1番2番と最後だけでも、現行茶道に批判的な本だと判る…けど、多分この人達の足並みはいまいち揃いそうもない感じ。

さっそく柳宗悦の「茶の病ひ」の最初のセンテンスより。

茶道を賛美した文章は澤山ある。それに心酔した記事は更に多い。併し茶道を批判したものは案外少い。
罵倒したものは多少あるが、それは心酔したものと共に、批判的だとは云へない。
近頃は歴史的なものが中ゝ多く、利休に關する根本資料の集録とか、茶室に關する調査とか、學術的なものが現れるに至った。慶賀すべきことであるが、併し是等のものと雖も充分批判的だとは云へぬ。
始めから利休を無條件に有難がってゐたり、古い茶室と云へば一途に美しいものと思ひこんでゐたりするやうな場合が多い。
それ故茶道に關しては、まだ/\考察が加へられてよい。
私の見るところでは茶道の歴史は功罪相半してゐるものである。
特に近年益ゝその道が流行するに及んで、弊害も著しくなってきたから、是非を見分かつ理解が欲しい。

柳宗悦の文章はリズムの良い文章で、読んでいて楽しい。
説得力すら感じてしまう。

だがだまされてはいけない。

だってこれ「お茶大好きツンデレジジイ」の繰り言に過ぎないのだぜ?