利休道歌に学ぶ11 小板と茶巾

小板にて濃茶をたてば茶巾をば小板の端におくものぞかし

昔は風炉釜を乗せる小板の上、右前角へ茶巾を置いたようです。
(略)
利休道歌にさからうようですが、いまは茶巾を小板の上におくことはしません。
しかし過去にはそのようにしておりました。
いま現在のお点前では必ず茶巾は釜の蓋の上か水指の蓋の上に置くということです。

まぁ「利休道歌にさからうようですが」は、いつもの事なのでどーでもいーです。


では「小板に置いた風炉で濃茶の時は茶巾は小板に」の理由を考えてみましょうか。

逆に言うと、「小板に置いた風炉で薄茶の時は茶巾は小板に置かず釜か水指の蓋に」って事でしょう。

小板の特徴は「動かないこと」。
釜の蓋の特徴は「動くこと」。
水指の蓋の特徴も「動くこと」。
濃茶の特徴は「釜の蓋を開けたり閉じたりする事が多いこと」。
風炉の特徴は「夏の茶なので水を入れる事」。


昔は、最初水指蓋上に茶巾を置いて→釜蓋上に移動する、なんて濃茶の時にひょこひょこ茶巾の置場を変えなきゃいけないのを避けて、小板に茶巾を置いていた、ということだと思います。

逆算すると、この頃の風炉の濃茶は

  1. 水指から一勺水を差してから茶を練っていた
  2. 水指を開けるのは水を差す直前

だと思うので、茶巾を移動する以外は現在の裏千家風炉濃茶点前と変わらない様に思います。

なぜ小板に置かなくなったのかはわかりません。

炉の時は小板がないわけなので、茶巾を移動する必要がありますから、炉と風炉で共通化させたのかもしれません。