利休百首談義7 名物茶碗の心得

百首扇
名物の茶碗出てたる茶の湯には少し心得かはるとぞしる

(略)
近頃は大衆茶会の永教で茶の湯の折でもよく「おすすぎを」等と言われたり、又詰の人が一心に紙で中を拭いているのを見掛けるが、こうした事が当然の所さとなると名物のあしらい等の心得は失われてしまうのである。
普通の場合、濃茶の後の茶碗はその引きあと迄残して拝見に廻す。
(略)
ところで名物茶碗の折りの変った心得とはどう言うものであろうか。
古書に次の様な作法が有るので記して見る。

詰が飲み終ると例の如く正客へ戻す。
正客は引き跡を見て後亭主に戻してすすぎを請い、亭主すすいでよく拭き出す。
これより例の通り正客より拝見して廻し、詰より正客に、正客より亭主へ戻す。
これは茶筌飾り等に欠く事の出来ない作法であり、名物茶碗の心得としては適当である様に思う。

どんなお茶碗も同じ様に丁重に扱っていては、本当に大事な茶碗が出た時に扱い困るよ、というお話。

多分筆者は正しい事を言っている。
でも、ぞんざいに扱ってよい茶碗はぞんざいに扱うべし、とか言われてもちょっと困るよね…。