茶室の話7 不審庵の風炉

不審庵に風炉を置いた写真がこれ。


解説にこうある。

不審庵では点前畳の先に茶道口があるので,ここへ風炉を据えることができない.

炉の時、台目畳には水指だけ。その脇をバックして入って来るのが戻り茶道口。
でも風炉だと風炉+水指が有るので脇が通れない。

戻り茶道口の弊害である。


点前畳を逆に使い、台目柱に背を向けて座ればお点前出来なくもないが、それはありえない。

かといって、点前畳から客の方へ向いて風炉を扱う事も出来ない。風炉が客に背を向けてしまうからである。

逆勝手風に風炉を配置して、運び点前にする…というのは無理筋すぎるし。


ここに風炉を置くということは、点前畳を放棄するということであろう。

戻り茶道口から出たお点前さんは台目畳を立ったまま通過し、Uターンして客畳に入り、風炉に向かう。

めんどくさいが、炉が戻り茶道口なのだからむしろ本望かも。


なお昨日の淀看席の説明にはこうある。

風炉の右の窓は片引障子のついた下地窓で,風炉先窓という.
風炉を据えた時換気をはかる役目を持ち,大抵の茶席にはこの窓を設ける(21図の不審庵と27図の又隠席には設けてないのは,この外が水屋なので作る事ができないからである.

採光を設計するには水屋の位置も大事ってことか。

不審庵はそもそも風炉での使用を前提としていない茶室、ということなのかもしれない。