茶室の話8 建築家の作った茶室

建築家の設計した茶室のなかには,形もよく,工費も合理的だが,茶事に使い難いとの非難を受けるものが時々ある.
これは茶室のよい形だけに心をひかれ,その使い方の研究をおろそかにした結果ではあるまいか.
(中略)
そしてこの手違いは2帖台目や3帖台目の中柱のある台目切りの席を作る時に生じやすい.

おもしろいし、頷ける指摘である。

この種の席は室の形に変化があり,造詣的にも面白いので,建築家としては,作ってみたいものの一つであるが,写真や図面の御手本を見ると,たいてい茶道口と給仕口が並んでいる.
一つで事足りるだろうと給仕口を省略するのが誤りのもとである.
そのため亭主が客のところへ懐石の膳や菓子などを運ぶことが甚だしく困難となり,非難の的となる.

ここからあと、給仕口が必要な理由が列挙されているが、茶人の私には分かりきった事なので省略する。茶室の畳には踏んではいかんところがある、それだけのことだからだ。


茶をやっていない建築家の立場だと、茶道口排すと建具も構造も楽になるし、引き戸の行方も考えないで済むんだろうけど、こればっかりはね。