新時代の礼儀作法

大妻コタカ監修/日本女子教育会/1965年
#1950年は誤り。12/17訂正

大妻大学(現大妻女子大学)の学長が監修した、女性の作法本。

この本、内容本当に面白い。
こういう作法本といえば、塩月弥栄子の「冠婚葬祭入門」が知られるが、
この本を読んだ後だとうわっつらだけの本に思えてしまう。

それはそれで別途紹介するが、最終章が「茶の湯の作法」となっている。
まずそれを先に。

茶の湯といえば、とても私どものような凡人には近よれないもの、
形式ばったむずかしいもので、一部の有閑階級の道楽だと考えている人が多いようです。
事実そのような一面もないではありません。
古ぼけた茶碗一つが数万円。あるいは十数万円であったり、茶杓一本が数万円というのでは、いよいよ縁遠い感じを深くするものがあります。

…冒頭からかっとばしております。

千の利休(茶の湯の元祖)のいわゆる侘び茶は庶民のものとして完成されたものですが、これがいろいろの流儀にわかれ、おのおのの家元制度というようなものができて、お茶を庶民の手から切り離したかの感もありましたが、最近ではは逆に、茶の湯は海外まで進出し、「ティー・オブジェ」と呼ばれる新しい茶道の改革すら取り上げられるようになりました。
そして「お茶会」も高踏的なものから、きわめて大衆的なものに変わりつつあります。

利休の庶民的な茶を、家元が金持ちのものにした…てきな書き方が残念。

利休の豪商的な茶を、近代数寄者は豪商的に引き継いだが、ようやく家元達の努力?で庶民的なレベルに落せる様になった…ってのが本当ではあるまいか。

特に最後の行の「大衆的なお茶会」が、なんで成立し始めたのか書いていないのは若干卑怯ともいえます。


ところで戦後すぐの時代の「ティー・オブジェ」。海外進出しての呼び方か、国内でそういう名称でお茶の改革をしていた人がいたのか読み取れないのですが、どちらにしても興味あるところ。