東印度原住民の土俗と藝術

宮武辰夫/春陽堂書店/1943年。

昭和18年の、ニューギニア/インドネシアの土着芸術の書。

この時期の統制経済下の、戦況悪化した中での出版物を私はいくつももっているが、その中で圧倒的に美麗な本。
ハードカバー布張箔押上製本グラビア写真付きなんだもん。


こうも優遇された本が出たのは、この地域がどれだけエキゾチックで、大東亜共栄圏にとって価値が有り、その前の支配者オランダがどんだけ理不尽だったか、を描いていて、国にとって価値ある一冊になっているからだ、と思う。


私としては南蛮物の土器とかが一杯出てくるかな、という期待で読んだのだが、そっち方面はいまいちかな。
そもそも範囲にタイが入っていないから宋胡禄出てこないし(誤算)。


内容は、すっごく面白い。

ネツトマ島には素焼に彩つたゆかしい壷の數々が生まれてゐる。
その形にもそれ/”\に微笑ましい工夫が盛られている。
(略)
アラフラ海に浮ぶ孤島の家は低い床で頑丈なたゝずまひをしてゐるが、そこに生まれた民藝も健康な美しさを湛へてゐる。

南の島の文化芸術を非常にリスペクトしつつ、一等国の微妙な上から目線ってのもあって、面白い。

祭禮にも、寺院詣りにも、踊りにも、上衣をつけないことが公式の禮装とされてゐるバリー島であつた。

そしてモンド映画とおんなじ文脈で、土人のおっぱいは写真OK。

ニユウギネアの原始人の娘達の集まりである。
その眸の注がれる處には、今や狩猟に出かけようとしてゐる青年の群があつた。

でもさすがに「原始人はねーよなー」とは思うのデス。