喫茶南坊録註解29 道古

滅後より。

此頃人々ノ道古棚ヲ見ルニ、違棚ノヤウニ段ヲカヘテ棚アリ、
利口ノ物ズキ無益ノコトナリ、
紹鴎利休ノ道古ハ一段ノ通リ棚ニテ、段ノチガヘタルハナリシナリ、
即チ利休ニアリシ古棚、今此坊ニ附置テ顯然ナリ、
年月ヲ経ルホド物事模様アルコトニナレリ、ウルサキコトナリ、
(略)

洞庫の中が最近は違棚になっているのを見るが、やりすぎである。
紹鴎利休の頃は段なんてなかった。
時間が経つと、何事も飾りがふえてしまう。うるさいことだ。


非常にすばらしい美意識のお話。

シンプルの良さをシンプルなままで後に伝える…ということの難しさ、飾り付け以外の方向でシンプルの良さにプラスを与えられない紹鴎/利休のシンプルの完成度を、この一文で表現仕切っている。


ただ、利休に言わせれば「曲尺割とか、そんなの無かったのに、うるさいことだ」と言われそうな気もするが。