仙叟宗室居士の遺芳3 伝授

坂口休与宛消息。

茶之湯の伝授に対する注意事項のメール。

(略)
茶之湯伝授事
人ニ御おしへ候而も
不苦候得共されとも
家ヽ之致秘*1蜜ニ
むさと伝授不仕候
得共貴様達而御望
故乍病中いたし懸
御目申候致秘蜜ニ候

茶之湯伝授の事
人に教えてもいいえど、我が家の秘密なんで、むざむざ教えないね。
貴方がむっちゃ希望したんで病気をおしてお見せした秘密なんで。

わけハ蜜と申者
わざを請候而工夫
いたし不申候いては成
不申事ニ候皆かるき
衆を習ニ遣其手前より
わざを見習申衆
斗ニ而蜜スルと云
工夫之所不存申候

というのも、秘密は技を工夫しなくてはできない事だから。
皆(身分の?)軽い衆(代役?)を習いに出し、
そこから技を見習おうとするばかりで
工夫のしかたを知らないからです。

其段ハ貴様抔御合点
参間敷与存候世間ニ
致大事ニむさと伝
授不被申事ケ樣之
ニ而御座候左様御心(わけ)へ可
被成候何事も春存
命候者御目可申入候

その点に関し貴方は納得されていないと知ってます。
世間に対しむざと伝授して欲しくないのはそういうわけです。
春に生きていればお目にかかってお話したいです。


みたいな感じか。

宗旦の頃は、宗偏達が独立していった事を考えると、まだ完全相伝制だったんだと思う。
んで、仙叟の頃もまだ、そんな感じだったんでは。

で、勝手な伝授を必死に止めている様子が窺われて面白い。


代役に教えさせ、そこから伝授を受けよう、という忙しい弟子達のやり方も興味深い。

*1:手偏に必