茶道規範24 聞書 座入して作法の事2

座入作法の続き。

さて、座り方に関し、この章に非常に興味深い部分がある。

茶道便蒙抄にこうある。

一 茶主出て膝を直し候へとの時宜ある時。主客同輩ならば膝を直すべし。
故は亭主膳をすゆる時かしこまり請取べき為なり幾度も此心得なり

亭主が出て「膝を直して下さい」と挨拶があったら、上下のない関係なら、膝を直し(正座)しなさい。だって、亭主が膳を出すとき、畏まって受け取らんといかんでしょ?

って感じだ。

同じ部分の聞書。

一 茶主出て膝を直し候へとの辭儀あらば。主客同輩の時は安座して苦しからず。
老人は猶更なり若輩の者は遠慮あるべし亭主膳を据る時かしこまりて請取べし。
食する内又安座して苦しからず是れ當流の和する所なり

亭主が出て「膝を直して下さい」と挨拶があったら、上下のない関係なら、あぐらかいてもいいよ。じじいもオッケー。若者は正座な。
亭主が膳を出す時だけは、畏まって受け取ってね。食事中にはあぐらかいていいし。
うちの流派はアットホームだし。


…坐り方の基本が、江戸時代中期は「あぐら」だったのに、大正時代には「正座」に変わってしまったのをこの文は明らかにしている。

原文を極力残しつつ、意味をがらっと変えたのは非常に評価高いぜ。