茶道規範25 聞書 膳出る事

茶道便蒙抄にない項目が、宗偏時代から大正の間の変化を現す、わけですな。

一 貴人御亭主にて膳御持あらば座より先へ辷り出中にて膳を取り戴くべし
(略)

どういうわけか、聞書の方が貴人に関する記述が多かったりする。
これは江戸時代を通過した結果かもしれない。


茶道便蒙抄;

一 (略)又壺皿か平皿にて引物は子細なし

聞書;

一 壺皿か平皿にて引物を正客へ出し、又二の客へ出したらば鹽生めたがはぬ内御
先にたべ候はんと言いて正客蓋を取るべし。
又三の客へ出たらば右の挨拶して二の客喰ふべし
(略)

銘々に焼物を出す時、江戸時代には「特にルール無し」だったけど、大正の頃には「配ったら順次喰ってく」というルールになっていた事が判る。

一 年始口切など新盃取肴出る事もあり
(略)

酒肴・趣向が増えていたことも。

一 食事するに器物むさくならざるやうに心がけべし
湯を呑仕廻。膳椀の汚れたる所は鼻紙にて拭ひ箸の末をもふくべし。
(略)

器を清めるルールも追加。

一 木具縁高又片木にて出す是は客貴人又は急度したる茶事追善等干菓子盛合にして出す事あり。
(略)

餅と煮しめの江戸時代を終え、干菓子にもルールが追加。


現代の「お茶は堅苦しい」ってイメージは、ルールがどんどん追加された結果であって、初期茶道はもっとおおらかだったんじゃないかな〜。
そんな感じがするわいな。