茶道規範48 要録 炭
炭ヲ置法之事十文字ヲ嫌フ
灰ノ隅ヘ不可掛
五徳ヲ不可頼
尤モ爐壇ニ不可當
「炭つがば五徳はさむな十文字縁をきらすな釣合をみよ」
炭の置き方は十文字を嫌う、というのはそれなりに古法なのが確認できる。
灰の縁にも炉壇にも当てるな、五徳に寄りかからせるな、などの禁止事項も。
初ノ炭ハ餘リニ興ヲ催スベカラズ只大ナル炭ヲ澤山ニ置ヲ専一トス故ニ此時ハ炭不出來ナルガ吉ト元伯云レシト也
口傳後ノ炭ハ初ヨリ輕ク其象チ見所有ル如ク可置
右二炭ハ定テ茶主役トスル大法也三度目ハ客ヨリ所望有ベシ
此ノ時抜群ノ興ヲ可催是レ暇マ乞ヒノ炭ナル故ニ成程炭數モ少ク二ツ三ツニハ不可過
下火ヲ心ノ儘ニ直シ灰ヲ以テ能ク炭衣ヲ消シ炭ノ灰ノ崩レ損ジタル所ヲモ繕ヒ火ノ上ヘモ灰ヲ掛爐中思フヤウニ善メ案ジ定テ猶豫ナク見事ニ可置。
(略)
初炭はデカい炭を沢山置け。だからカッチョイイ置き方でなくていいんだよ、と宗旦は言った。
後炭は初炭より軽くかっこよく置け。
これらは亭主がやるルール。
立ち炭は客が所望すること。
これは趣ある炭なんで、少なめに。
下火を好きなよーに直して灰で炭のもわっとした所を隠し、ちょーカッコイイ置きかたにすること。
初炭は湯がガンガンに沸かなきゃいけないので、恰好なんて気にするな、というのは実際的で面白い。
現代の茶の湯よりも野生的なことを宗旦の頃はやっていたわけだ。
あと、いろいろ言っといて立炭大好きやん、宗偏。
現代と炭手前の感覚が随分違う気がする。
禁則だけ書いてあるということは、特段の様式化はなされていなかったんではないかと思われる。
あと、灰形の記述もない事から、まだ風炉の灰形はなかったのかもしれない。