松花堂昭乗4
昭乗の書について。
昭乗の書は世に瀧本流或いは八幡流と云ふ。
彼は諸流の長を合せたが、我が國上代書風の復興に於て其の功績偉大なるものがある。
而して近衛信尹・本阿彌光悦と共に寛永の三筆或は平安の三筆と云はれる。
松花堂昭乗というと「字がうまい」「寛永の三筆」と、型どおり思うわけだけど、書風が判るほどの勉強はしていない。
なので「ああ、そうなんだ」としか言えないのがちょっと残念。
此頃青蓮院門跡は尊朝・尊純兩親王相繼ぎ、近衛家には前久(龍山)・信尹(三貌院)・信尋(應山)の三世相繼いで書を能くした。
即ち昭乗は尊純親王を初め、近衛前久に就いて御家流を學んだ。
前久は昭乗の筆の非凡なるに感じ入木道の奧秘を授けた。
あれ?ちょっと待てよ。
光悦の師匠は知らんけど、寛永の三筆のうち二人は近衛家関係者…というか、近衛前久の子供と、弟子なのか。
三國志の「伏龍・鳳雛」が水鏡子を中心とした荊州学閥の互いに誉め合うキャンペーンだったように、寛永の三筆も、近衛前久によるプロパガンダだったりしないだろうか?