君台觀左右帳記研究8
君台観左右帳記の「上繪」の部分を通読する。
本書の基本的な構造はまず作家の時代と経歴を語る。
そしてその画風が日本の水墨画界に与えた影響を語る。
でも現存するその作家の作品は大抵偽物だ、と来て、真筆でも君台観左右帳記に載った義政の展観にあったものではなかろう、と来る。
場合によっては義政の所持したものも真筆ではあるまい、とまで来る。
そしてこの繰り返しで「上繪」の部分は終わってしまうのである。
「上繪」の部分はこう〆られている。
而も其眞蹟は頗る稀有にして大多數は後人の偽作なることを知らなければならぬ。
然るに卒翁其他の繪畫にして「天山」の印を有するものあり即ち之れ東山御物の證據なりしとて頗る珍重せられて居る
元來天山の印は義政の雅號にあらず。
義政は喜山の號を有し天山の號は義滿の雅號である。
而も天山の印は後人の偽造せるもの頗る多く殆んど之を信頼することが出來ないのである。
なんとも厳しい。
日本に来た元宋の名画のほとんどが散逸滅損していることになる。
もう少し残っていると思ってたんだけどなぁ。