新修裱具のしをり16

本書はここから後、表具の仕方のマニュアルになるので、障子や襖の貼り方まであって面白いは面白いがそこはオミット。
最後に屏風の章にあったこの話を。

風炉先屏風

茶湯に用ひる。
是も二枚折である。
茶道早合点下に「風炉先屏風、両面二枚屏風なり、長さ二尺ばかりなり、はヾいろいろ有、紙張又あじろ等有、流儀によりて品多し」、茶道筌蹄に「風炉先屏風、利休形白張黒塗鳥の子紙、炉風炉とも通用、同金張付利休形の通りにて金箔を置きたるは如心斎好み、又仙鶴舟引の画あるも如心斎好みなり」とある。
(略)

本書の著者は文献での初出を割と丹念に漁ってくれるのだけど、風炉先屏風に関しては江戸後期の本まで待たないとなかったのだろうか?
もっと前の時代に風炉先屏風があっても全然おかしくないと思うのだが。

私は、風炉先屏風は初期茶道から存在し続けているアイテムだと思っている。

初期の茶道では茶室はなく、広間を屏風で仕切って「囲い」を作った、

客は屏風を動かして出入りすると危ないので、障子か襖のある場所から出入りしただろう。必然的に風炉は屏風の側に置かれ、風炉と屏風はセットの様になった。

で、独立茶室が作られる様になっても、屏風は風炉に付いて来た…大きさを変えて。

この屏風の名残りが風炉先屏風なんだと思う。
そんな感じだったんじゃないのと思っている。

この風炉先屏風ってのは機能的には全く意味が無い。アメフラシの貝殻程度の痕跡器官に過ぎないんだけど、無いと落ち着かないんだよねぇ。