床の間の構成 装飾編3

次にこれまでの床の間の装飾といへば、直ちに掛物の懸け方、生花の配置、或ひは香爐や卓の置き方、其他いろ/\の置物や装飾具の配置や按配を稱してゐた。
そしてそれらの装飾的器物の珍奇であり、高價であり、且つ稀有な逸品を陳列することを最も高級な装飾とされ、或ひは茶趣味や府がな装飾的表現のみを尊重されていた。
従つて床の間や棚や書院の装飾構成の骨子となるべき權衡や均等、律、調和等の原則については餘り考へられずして、有り來りの形式や形態をそのまゝ工匠の意によつて構築し、而して自分の持ち合せの装飾具を適當に飾つてゐる人々が可なり多いやうであつた。

床の間は常に「珍品置場」になるか「置き過ぎの簡易倉庫」になるかのニ択を迫られている。

「見せる収納」かつ「作り付け棚」なんだから、当然といえば当然か。

床の間の装飾は或る意味に於て綜合的装飾藝術である。
即ち材料の組合せによる立體的な架構美、その工作的な技術の美、そこに配置されたる繪畫や彫刻や工藝や書道の美、そしてそれらの律動的な線や面、或ひは色彩の諧調が統合されて、はじめて全體的な装飾藝術が表現されるのである。
而してその装飾の外装は單に調和、權衡のみに止らずして、常に内より生きてゐるといふこと、即ち或る生命が漂ふてゐなければならぬ。

いやどうかなー。

カネワリ的なルールが優勢になるか、でなきゃそれぞれのパーツに深みがなくなるか。

「綜合芸術」って、大体半端なことになるよ?