家庭料理講義録十月号紅葉ノ巻
東京割烹講習會編/1917年。
大正時代の料理本。しかも定期刊行物である。豊かな話だ。
表紙に「板垣伯爵夫人主宰」と書いてある。これは板垣退助の妻絹子である。
うまい料理を手早く経済的に作ることは、自由民権運動と同じぐらい大事で、女性の時間や権利を勝ち取る方法と考えていたのかもしれない。
最初に目を惹くのが、巻頭広告である。
醤油だらけである。
一つだけある松屋呉服店は現在の松屋百貨店。ただしこの頃は今川町でデパートを開いていた。のちに関東大震災で焼失し移転。
山十は銚子山十という会社が今でもあるが、マークは違うようだ。これは大正7年にヤマサに買収された銚子の別の醤油会社の模様。
亀甲萬と上十は茂木家高梨家で2年後野田醤油株式会社になり、最終的にキッコーマンとなる。
ヒゲタはそのままであるが、醤油会社の統廃合史を見ているようだ。
結構貴重なタイミングである。