分類草人木

日本の茶書1より。

分類草人木という書の存在は知っていたが、なにか本草関係の本だと思っていた。しかし実際は非常に判りやすくて役にたちそうな茶の湯ノウハウ集。

逆勝手の席で懐石で匂いの強いものが出たら、軸に匂いが移るのを避ける為に軸から遠い側に置き直せ、でも貴人はそんなこと気にしなくていいとか、老眼の人はじっくり軸に近寄って拝見しろとか、微にいり細にいり細やかな配慮が書いてある。

風炉を小板に乗するに、小板中間に居えれば、脇より見て風炉仰く者なり。
前へ少し引き寄せて居えるべし。

こんな細やかな配慮ありか?

奥書を信用するならこの本、1564年に書かれた茶書となる。本能寺の変が1582年。1564年は織田信長はまだ上洛しておらず、茶の湯に興味も無かっただろうころだ。

どうも、山上宗二のおかげで、現在の様な茶道は利休まで無かったみたいな気がしているが、既にいまとさほどかわんない成熟した茶の湯があったんじゃないかとも思える。
ま、文書の成立が1564年でない、という可能性もありそうな気はするのだが。