茶道訓・茶事掟

日本の茶書2より。松平定信著。

「元の濁りの田沼恋しき」で有名なストイックな行政改革しまくったおっさんの書いた茶道書である。

内容も非常にストイック。

いまにては千々のこがねを出してふるき品をとかい求むるは、かの妖物の戒めおそるべし。

要は家にあるもんでやんなさい、という事なんだけど、腐っても白河松平藩の家督継いだ人の言として聞き流すか、本来徳川吉宗の孫として徳川宗家継げたかもしれなかった人の言として受け止めるか、微妙なところだ。

で、数寄といえども茶事の本意(=禅的な精神)に適わない品は止せと戒めている。

たとえていわんに、千家などにて用ゆる小児の手引きあう姿のふた置などは、姿おかしきとても其の意を失せり。人のかたちあるものに、釜のふたの熱したるを、ふくさもてとりてその小児の頭におかんは意なしともいうべし。

オサムライさんのやさしさに涙である。つーか、唐子蓋置って武家茶道で使ってなかったのかいな?

日常からちゃんとしときなさい、という事が強調されていたりして、武家茶道の精神を学ぶにはよい教科書だと思う。