下足番

お茶会では下足番という役目を頂いた。最初はお運びの予定だったんだけど、急遽変更である。

  1. お客様が席入り時に踏石で脱いだ履物を横に整頓する。
  2. 全員が席入したら入口の障子を閉じる。
  3. お客様の履物を逆向きに並べ直す。
  4. お帰りの時はお客様にどの履物かお聞きし踏石に戻す

仕事はこんだけである。つまんなさそうに見える?

いや、これがいいんだな。はっきり言って、お運びより得るものが多かったんじゃなかろうか?

まず、出入りするすべてのお客様に接する。お運びは、ある意味マニュアルっぽい所作を、どれだけきれいにがんばるかという話だが、下足番にマニュアルはない。だから、自分なりに頑張って、どう不快感無くお客様に過ごして頂くかに心を砕いた。

そして一席30分の間は茶室の外で待機である。

障子一枚向こうの姿は見えない。でも声は聞こえる。正客と席主の会話を余す所なく聞く事ができる。これが勉強にならない筈があろうか?

いろんな正客がいて、それに席主がどう受け応えるか。どう客を立てながら趣向の説明をするか。
実にスリリングで面白い経験だった。

しかも春の緑は美しく爽やか。茶室の前の手水には回りの緑が映り込み、落ちる水滴、広がる波紋、揺れる緑。退屈などあるわけもない。

水屋と茶室を往復しているとこうはいかなかったろう。茶室や水屋の中と違って涼しかったしね。

足が疲れたのだけは大変だったかなー。